EGFの教室

■ノーベル生理学・医学賞を受賞したEGFの効果
EGF(上皮成長因子、Epidermal Growth Factor)は、アメリカの生化学者スタンリー・コーエン博士が1962年に発見したタンパク質です。もともと生物に備わっている53個のアミノ酸から形成されるタンパク質で、細胞の成長促進や機能を整える役割があります。

コーエン博士は研究によりマウスの顎下腺抽出物から新しいタンパク質を単独で分離することに成功し、そのタンパク質(mEGF,Mouse Epidermal Growth Factor)が新生マウスの眼を開かせたり、歯の成長を促進する効果があることを発見しました。

これにより、人が本来持っているタンパク質のなかに細胞、皮膚、骨、筋肉などの成長や代謝、機能を調整する「成長因子(Growth Factor)」があることを発見したのです。人の成長因子は、正式には「hEGF:Human Epidermal Growth Factor」と言い、唾液や母乳などにも多く含まれています。

EGFは医療分野で火傷や傷などを負った肌の再生、皮膚移植、角膜切開による傷の回復促進として臨床使用されていました。それにより、お肌の上皮(皮膚・粘膜など)の細胞にある上皮成長因子受容体(EGFR)と結合して受容体(チロシンキナーゼ)を活性化、新しい細胞をつくったり増やしたり、また正常に働くために調節する作用があることがわかったのです。

スタンリー・コーエン博士は、皮膚の神経細胞の再生を助ける118個のアミノ酸からなるタンパク質の「NGF(神経成長因子、Nerve Growth Facto)」も発見しています。NGFは損傷した神経細胞の修復と機能の回復を促がし、神経細胞を成長させ増やしてくれます。

スタンリー・コーエン博士は、この2つの成長因子、EGFとNGFの発見の功績で1986年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

EGFをスキンケアに
肌再生医療として研究されていたEGFは、発見当初はとても貴重でわずか1gが8千万円という高額なものでした。しかし現在は多くの研究者たちの功績によってEGFの抽出技術と生産技術が進み、化粧品に利用可能な価格となったことで、私たちの身近なスキンケアの美容成分として利用できるようになりました。

EGFの美容成分の効果については、アメリカのブラウン博士の臨床試験で確認されています。EGFを0.1μg/g(0.00001%=0.1ppm)配合したローションを約2ヵ月(60日)間に朝昼の2回使用したところ、表皮の新生細胞の成長率が平均284%促進、最高で835%促進したということです。これは30~60代の被験者の実験データですが、50歳以上の年齢でも新生細胞の成長が改善したことが確認されています。

EGFの美容効果
EGFは、お肌を若々しく保つ「人成長ホルモン」を活性化して、シミやくすみ、たるみなどの肌トラブルを改善して健康的な肌へと導きます。具体的には、次のような効果があると言われています。

お肌の表面(上皮)の細胞を活性化して、新しい細胞を増産・成長させてシワを予防・改善します。
お肌の表面(上皮)の細胞の再生機能を助け、創傷などの回復を助け傷跡の再生を早めます。
お肌の表面(上皮)の細胞機能を正常化することで、ニキビや吹き出物などの肌トラブルの抑制作用があります。
お肌の新陳代謝(ターンオーバー)を活性化して、健康な角質を作ることで色素沈着を抑制し、シミやくすみを改善します。
お肌の乾燥トラブルを改善して、キメを整え健康的で滑らかな肌へと導きます。
化粧品の成分表示には、「ヒトオリゴペプチド-1」というEGFの正式名称が記されています。なお、この正式名称ヒトオリゴペプチド-1の表記で厚生労働省が2005年に化粧品への配合を認可しました。

ちなみにEGFを過剰に摂取して上皮成長因子受容体(EGFR)と結合しきれない場合は、その分だけ体外に排出されてしまいます。ですから化粧品に配合されているヒトオリゴペプチド-1の量は、多ければ多いほど効果が高いということはありません。

 

表皮に作用する成長因子

上皮成長因子(EGF) ヒトオリゴペプチド-1
新陳代謝・活性化作用によりシミやソバカス、くすみを改善するとされています。新しい細胞と老いた細胞をスムーズに入れ替わらせ、弾力のある若々しい肌を保ちます。ニキビや吹き出物などの肌トラブルを抑える効果が期待されています。

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